「すいかさんがそちらにむかうとのことです」
帰ってきたきめぇ丸の返答は度肝を抜かれた。そして、
「やっぱり、けっとうざたになるのかな」
一方的に傘下に入れてくれというのは少々無謀すぎただろうか。
「いえ、そうではないようですよ?」
「え?」
「ひさしぶりにかおがみたい。ただそれだけのようです。さんかにはいることにかんしてはすいかさんはあっさりとおきめになりましたよ」
まりさが自分の妻と一緒に目の前に現れたとき。れいむは心底呆れた。まるでゲスそのものじゃないかと。
このまま、引導を渡してやろうかと思ったときに、すいかが現れたのだ。
『うらぁああああああああああああああああああ!!!!!!!!』
その姿は正しく荒れ狂う嵐のよう。3年の年月を経て、磨きに磨いた自分の仲間たち。立派になったものだな。れいむは感慨にふけた。
そんな時間もつかの間で、まりさ一人が残ってしまった。きめぇ丸がきっちり伝えたのかまりさの妻たちは体に後遺症を残さずに動かない程度にせいっさいされている程度だ。
「それじゃあ……」
「まってね!」
れいむは止めた。そう、れいむには最後に見届けねばならないものがあったからだ。
「どうせなら、このむれの“えいゆん”をきめたほうがいいよ」
歴史に幕を降ろす、とでも表現すればよいのだろうか。勝負に敗北したまりさを眺める。その目線は冷たく、自分の子供を労るものではなかった。
「これで、せいしきにこのむれはさんかにはいることになったよ」
勝利を分かち合うすいかにボソリとつぶやく。
「そうだね。すいかのかちだよ。れいむ、“きみのむれはえいえんにまもる”けど“こどものむれ”はもらったよ」
そう、これは自分たちの問題ではなく子供たちの世代の問題だったのだ。
「……よくわかったね」
すいかもその問題を体験済みだった。自分の死後、どうすれば国家を保つことができるのか。霊夢よりも先に考えていたのだ。
「そのためにも、れいむにはうひとはたらきしてもらうひつようがあるよ」
「かくごはできてるよ」
若いゆっくり達は群から追い出され、開拓団として別の土地でゆっくりプレイスを築くことになった。そこにリーダーとしてすいかの側近のまりさと母れいむが付いた。
「ひぎぃいいいいい!!!!!!!」
「そこ、ちゃんとはたらけ!」
若いゆっくりたちは過酷な労働を課された。全ては自分たちのために。
「ずっとはたらいてなかったばつだよーわかれよー」
「ごべんなざいぃ!! じゃんどはだらきまずがら……ぜいっざいだけばぁあああ!!!」
若いゆっくりの中でもとりわけ勤勉なものは監視役へと回し、徹底的にゆっくりしているゆっくりを働かせた。もし、働かなければ思い思い厳罰が待っている。
「れいむはもうゆっくりするよ!! だからじゃましないでね!!」
一匹のれいむが草を抜く仕事を放棄し、文句を言い始めたのだ。
「なら、せいっさいなのぜ?」
すいかの側近まりさは忠告するが、鬱憤に鬱憤を重ねたれいむにその言葉は通じなかった。戻りたかったのだ、あのゆっくりしていた頃に。
「ゆっくりしてるれいむがまけるとおもうのばかなの? ぷくぅうううう!!!」
「……………」
「ぷひゅー…どう! れいむのこわさがわかったでしょ? ならはやくあまあまもってこい! そしたらおまえはどれいにしてやるよ!! ゲラゲラゲラゲラ!!!!」
周りのゆっくりたちはゆっくりできない気持ちでれいむを眺めた。れいむの気持ちがわからんでもないのだ。あの日、まりさといっしょに居た時、周りの奴隷共がれいむに奉仕して好きなだけゆっくりできたのだ。だが、今はどうだろう。あのくそまりさは負けたのだ。忌々しい思いが更に体をめぐる。今日もまたあいつをいじめてやる!!
だが、今日から数日間れいむに待っているのは地獄だ。
「ゆ? なにゆっくりしてるの? はやくあままもってごい!! このくそどれい!!」
「さすがに、かんにんぶくろのおがきれたのぜ?」
「ゆ? まりさご―――ぶぎゃぁあああああ!!!!」
まりさの口にはれいむのモミアゲが咥えられていた。そう、モミアゲを引きちぎったのだ。
「いだいいいいい!!! れいむのきゅーてぃくるなもみあげさんが~~!!!!!」
「ちょっと、おとなげなかったかな。でも、もっといじめてあげるからかくごしてね」
「お、おまえはなにを!」
「ようむ、ありす。このれいむをせいっさいしつにつれていってね! いや、れいむはつかいものにならなくなったからかこうじょうにつれていってね!!」
監視役のようむとありすはすぐさまれいむの元へ駆け寄った。
「かこうじょうはいやだ!!!! はなぜごのげすども!!!!! このゆっくりごろしのうらぎりものおおお!!!!!!!!!!」
こめかみから走る激痛に上手く抵抗できず、ようむとありすに母れいむが待つ加工場へと連れ去られていった。
「や、やめろおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!」
「みょん! きょうはでいぶをつれてきたみょん!!」
「はなぜええええええ!!! ゆっくりできないぃいいいいい!!!!!!!!」
それもそのはず、加工場からはゆっくりの死臭が蔓延しているのだ。ようむやありす等の監視ゆっくりも例外ではない。
「そこにおいといてね! あとはなんとかするから」
「た、たすかるみょ~ん!!!」
れいむを投げ捨ててすぐさまようむは逃げるようにその場を立ち去った。そして思い思い二のような扉を締める。
「それじゃあ、はじめるよ」
「や、やめてね……ひどいことしないでぇ!!!!!!」
「ぎゃぁああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ゆひぃ!」
悲鳴がゆっくりたちの仕事場まで響く。意図的に聞こえるようにしているのだ。
「いじゃあああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
悲鳴はさらにゆっくり達を恐怖のどん底に陥れる。それが目的なのだ。
ゲスには恐怖という道具を使い、統治する。そして、教育していくのだ。マインドコントロールのと言っても差し支えはなく、そこに自由はない。“ようかいのやま”はその手段を採って領土を拡げた。それもこれもゆっくりが進化していくためであると。必要悪であると。
“あんこのかくめい”
ゆっくりの思想をあらゆる手段を使いゆっくりをより高尚な生き物へと進化させ、よりゆっくりできるようにする。喩えるならば、鉄を鍛えるかのように、精神を高熱で溶かしハンマーで整える。これが“ようかいのやま”の最大の目標である。
そんな中、元“英雄ん”のまりさは地獄の釜の底を生き延びていた。唇がなく歯がむき出しで、帽子には穴が開いている。まったくゆっくり出来ないゆっくりになってしまった。
「むーしゃ、むーしゃ……」
今日もまた公衆便所に行き、皆の糞尿を食べる。ルールとしてまりさはご飯をたべることが許されないのだ。それじゃあ何を食べればいいのか、ご飯じゃないご飯を食べれば良い、母に宣告されたときまりさは無け無しの体力で怒ったが、相手にされなかった。さらに、
「おいまりさぁあああ!!!! ちょっとこい!!!!!!」
背後から元妻のれいむの怒声がかかった。
「ま、まだごはんさんをたべているんです。か、かんべんしてくださ―」
「おまえにけっていけんがあるとでもおもってるの!!!!ばかなの!!!!!ころすよ!!!????」
「す、すいません……」
今日もまた、元妻達にリンチを受ける時間が始まるのだ。
若いゆっくりたちは集団生活を強いられる。そのための場所としてゆっくりの群れ一つ出来そうな居住区に集められ、その家一つごとにすまなければならない。
開けた会場でまりさを囲うようにゆっくり達が集まってきた。それを監視するように仕事を終えた母れいむが見ている。毎日行われている、この生活で唯一楽しみのレクリエーションが始まるのだ。
「ゆひぃ……」
これから行われるせいっさい。だが、まりさは絶対に殺されない。なぜなら、ゲスという偶像だからである。“ようかいのやま”の恐怖政治の一つで、ゲスの象徴として一生、虐められる運命なのだ。
「ふふ、きょうはおれんじじゅーすさんをちょっともらったからかいぼうごっこだよ!!!」
「ゆひー!!いったそ~~!!!」
『ゲラゲラゲラ!!!!!』
もちろん、オレンジジュースはまりさをせいっさいする為のものであり、飲むものではない。仮に飲んでしまったら、せいっさい室に送られ、まりさと同じようにオレンジジュースを使われる日々が待っている。
一匹のれいむが木の枝を持ってきた。
「ねえ、このきのえださんがなにかしってる?」
「ゆぐっ……」
『なーにそれ~?』
「そこのくそぶくろがいばってもってたきのえださんだよ! ぷくく、ほんといまかんがえればまぬけだね!」
『ゲラゲラゲラ!!!!!』
まりさが自慢にして持っていた木の枝。実はこの群れから離れる際にこっそり帽子の中に入れていたのだ。それはなぜかって?
「こいつはね! このきのえださんにはなしかけてたんだよ!『まりさがきのえださんをつかっていればあいつらなんか』って。ぷくくくく。かてるわきゃねぇええだろぉおおおおおおおおお!!!!!」
慣れた手つきでまりさの後頭部を木の枝の尖った先っぽで切り裂いた。後頭部に残る切り傷は、髪の毛が生えず、禿げたまんまの亀裂が何本も走っている。
「ゆぎぃいいい!!!!」
「ゆひゃぁああああああああああああせいっさいだぁあああああああああああああ!!!!」
『ゆひゃぁあああああああああああああああああ!!!!』
他のゆっくり立ちも常備していた木の枝を使い、まりさの頭に突っ込んだ。
「うgyさtrydzつsrふぃxd7おtcy8fvぐいぽ@!!!!!!」
「どうだ! どうだ! このげすめ! もっとなけ! なけぇえええ!!!!!」
「おまえのせいだぞ! こんなめにあうのはおまえのせいなんだああああ!!!!!!!」
中枢餡を傷つけないように木の枝は浅く刺しそしてかき回す。
「あばあっばばばばっばあばはばっばばばばばばばばばば!!!!!」
気が済めば、枝を取り出して、代わりの餡子としてみんなのうんうんをつめ、そして交代する。それを何十回も繰り返すのだ。
「ゆげぁあああああああああああああ!!!!!!!!!!」
だが、まりさは狂えない。普通なら狂えてしまうだろう。だが、出来ないのだ。
「まりさ、しんじゃうよ? このままだと? ふふ、ゆっくりできなくなるね!? そっちのほうがいいかな!?」
「いやだ、しにだくない、いやだ、だすげて」
「うそでしょ? ほんとうはしにたいんでしょ?」
「まりさはしにたくない! まだ、まりさはゆっくりしてないぃいいいい!!!」
死の恐怖がまりさを塞き止める。幾つものせいっさいがまりさに死の恐怖を教えたのだ。そして、この苦しみに耐えればゆっくりできるよと監視役のゆっくりの嘘を信じているからだ。
「おかあざあああああああん!! だすげでえええええ!!!!!」
そんな声を無視するかのように母れいむはそっぽを向いた。
「どうして、どうしてなの!? こたえてよ!! まりさ、かわいそうでしょ!? おねがい、たすけてよおおお!!!!」
れいむにとって、もう、まりさは大人だ。だから、
「まりさ、」
「おかあさん!?」
「ゆっくりしていってね!!」
その後、れいむは監視役のゆっくりに群れを運営するに当たってのノウハウを教え、元の群れに戻った。これから一生、自分だけをゆっくりさせよう。そう考えたのだ。ただ、普通にご飯を食べ、自然を感じ、友人と話し合う。ただ、そんな人生を歩むことにした。
子供達の群れが立派な群れになり、“ようかいのやま”の一員として存在できるようになった頃、群れのリーダーのちぇんからまりさの死を告げられた。最後の時まで、まりさはあの木の棒にすがりながら生きていたらしい。体の汚れで真っ黒になった木の棒がれいむの元に渡った。
「これが、あのこのいひんだね」
子供を愛さない親はいない。少なくともれいむはそうだった。だが、れいむはまりさを助けなかった。ちぇんは子供の遺品に悲しげな顔をする母れいむに疑問をぶつけた。
「なぜ、まりさをたすけなかったの? れいむならたすけられたはずだよ?」
母れいむには義務がある。誰かに伝えるための義務が。
「それはね、えらいゆっくりはたっくさんのせきにんをおわないといけない。まりさはちからもないのに“えいゆん”になろうとしたからだよ。こればかりはれいむもくちだしできないよ」
れいむの死期が近づいてきた頃、一匹のゆっくりけーねが現れた。なんでも、れいむのことを知りたいらしい。
「けーねはゆっくりのれきしをへんさんしたいんだよ!」
「ゆ、それなられいむがしってるはんちゅうでおしえるね!!」
その記録はゆっくりけーねだけが持っている。だが、けーねが歴史をまとめる時、そこにバイアスというものが掛かってしまうのは言うまでもない。
歴史はゆっくりの中で謳われ続けた。その歴史が正しいかは分からないが、途絶えないで欲しい。そうれいむは思いながらけーねに自分のありったけの気持ちを伝えた。
【おわり】
======あとがき======================
「何とか本能の赴くままに!」書いてみました。推敲? なにそれ状態です。かろうじて起承転結に作っては見たのですが。オチとしてこの話を作る前に再度読み直したんですが、誤字が酷すぎる。また、消し忘れ・言葉の意味がおかしかったりなど酷い点が多い。脳から出る言葉を記し続けた結果がこれだよ!
ストレスフルというか、文章を書いてスッキリしたい。そういう思いで文章を書いております。時間が有れば辞書を引いて色々模索するところですが、期末テストが……その憂さ晴らしとして書きました。
今作のコンセプトはゆっくりの歴史。サブとして社会について。まあ、夜警国家で軍事国家じゃないと無理かな。つか、シヴィリアンコントロールとか書いてたが、ありゃ文治主義だ。意味が逆ですね。マインドコントロールにしようかと迷ってあんなこと書いたような。普通に英語の意味として違うだろうがって話しなわけで。助詞とか、言葉って難しい。……話が脱線しました。
長編はこりごりです。体力がガリガリ減らされて書くのがとっても辛かった。なので次回からはシンプルな短編を作ろうと思います。
へたくそなレベルの低い文章をお見せしてまことに申し訳ありませんでした。プロットもたてず、また後付のように設定を加える傍若無人な態度。SSを書く人間の態度ではありませんでした。楽しんで欲しいと言う一心で作った文章ではありますが、自分の恣意的な思いが強く歪んだ作品になってしまった気がします。また、長編に限ってはこのスタイルで通し続けるつもりなので、一旦、長編を書く事はやめます。
付き合ってくださった人に感謝の極みです。
帰ってきたきめぇ丸の返答は度肝を抜かれた。そして、
「やっぱり、けっとうざたになるのかな」
一方的に傘下に入れてくれというのは少々無謀すぎただろうか。
「いえ、そうではないようですよ?」
「え?」
「ひさしぶりにかおがみたい。ただそれだけのようです。さんかにはいることにかんしてはすいかさんはあっさりとおきめになりましたよ」
まりさが自分の妻と一緒に目の前に現れたとき。れいむは心底呆れた。まるでゲスそのものじゃないかと。
このまま、引導を渡してやろうかと思ったときに、すいかが現れたのだ。
『うらぁああああああああああああああああああ!!!!!!!!』
その姿は正しく荒れ狂う嵐のよう。3年の年月を経て、磨きに磨いた自分の仲間たち。立派になったものだな。れいむは感慨にふけた。
そんな時間もつかの間で、まりさ一人が残ってしまった。きめぇ丸がきっちり伝えたのかまりさの妻たちは体に後遺症を残さずに動かない程度にせいっさいされている程度だ。
「それじゃあ……」
「まってね!」
れいむは止めた。そう、れいむには最後に見届けねばならないものがあったからだ。
「どうせなら、このむれの“えいゆん”をきめたほうがいいよ」
歴史に幕を降ろす、とでも表現すればよいのだろうか。勝負に敗北したまりさを眺める。その目線は冷たく、自分の子供を労るものではなかった。
「これで、せいしきにこのむれはさんかにはいることになったよ」
勝利を分かち合うすいかにボソリとつぶやく。
「そうだね。すいかのかちだよ。れいむ、“きみのむれはえいえんにまもる”けど“こどものむれ”はもらったよ」
そう、これは自分たちの問題ではなく子供たちの世代の問題だったのだ。
「……よくわかったね」
すいかもその問題を体験済みだった。自分の死後、どうすれば国家を保つことができるのか。霊夢よりも先に考えていたのだ。
「そのためにも、れいむにはうひとはたらきしてもらうひつようがあるよ」
「かくごはできてるよ」
若いゆっくり達は群から追い出され、開拓団として別の土地でゆっくりプレイスを築くことになった。そこにリーダーとしてすいかの側近のまりさと母れいむが付いた。
「ひぎぃいいいいい!!!!!!!」
「そこ、ちゃんとはたらけ!」
若いゆっくりたちは過酷な労働を課された。全ては自分たちのために。
「ずっとはたらいてなかったばつだよーわかれよー」
「ごべんなざいぃ!! じゃんどはだらきまずがら……ぜいっざいだけばぁあああ!!!」
若いゆっくりの中でもとりわけ勤勉なものは監視役へと回し、徹底的にゆっくりしているゆっくりを働かせた。もし、働かなければ思い思い厳罰が待っている。
「れいむはもうゆっくりするよ!! だからじゃましないでね!!」
一匹のれいむが草を抜く仕事を放棄し、文句を言い始めたのだ。
「なら、せいっさいなのぜ?」
すいかの側近まりさは忠告するが、鬱憤に鬱憤を重ねたれいむにその言葉は通じなかった。戻りたかったのだ、あのゆっくりしていた頃に。
「ゆっくりしてるれいむがまけるとおもうのばかなの? ぷくぅうううう!!!」
「……………」
「ぷひゅー…どう! れいむのこわさがわかったでしょ? ならはやくあまあまもってこい! そしたらおまえはどれいにしてやるよ!! ゲラゲラゲラゲラ!!!!」
周りのゆっくりたちはゆっくりできない気持ちでれいむを眺めた。れいむの気持ちがわからんでもないのだ。あの日、まりさといっしょに居た時、周りの奴隷共がれいむに奉仕して好きなだけゆっくりできたのだ。だが、今はどうだろう。あのくそまりさは負けたのだ。忌々しい思いが更に体をめぐる。今日もまたあいつをいじめてやる!!
だが、今日から数日間れいむに待っているのは地獄だ。
「ゆ? なにゆっくりしてるの? はやくあままもってごい!! このくそどれい!!」
「さすがに、かんにんぶくろのおがきれたのぜ?」
「ゆ? まりさご―――ぶぎゃぁあああああ!!!!」
まりさの口にはれいむのモミアゲが咥えられていた。そう、モミアゲを引きちぎったのだ。
「いだいいいいい!!! れいむのきゅーてぃくるなもみあげさんが~~!!!!!」
「ちょっと、おとなげなかったかな。でも、もっといじめてあげるからかくごしてね」
「お、おまえはなにを!」
「ようむ、ありす。このれいむをせいっさいしつにつれていってね! いや、れいむはつかいものにならなくなったからかこうじょうにつれていってね!!」
監視役のようむとありすはすぐさまれいむの元へ駆け寄った。
「かこうじょうはいやだ!!!! はなぜごのげすども!!!!! このゆっくりごろしのうらぎりものおおお!!!!!!!!!!」
こめかみから走る激痛に上手く抵抗できず、ようむとありすに母れいむが待つ加工場へと連れ去られていった。
「や、やめろおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!」
「みょん! きょうはでいぶをつれてきたみょん!!」
「はなぜええええええ!!! ゆっくりできないぃいいいいい!!!!!!!!」
それもそのはず、加工場からはゆっくりの死臭が蔓延しているのだ。ようむやありす等の監視ゆっくりも例外ではない。
「そこにおいといてね! あとはなんとかするから」
「た、たすかるみょ~ん!!!」
れいむを投げ捨ててすぐさまようむは逃げるようにその場を立ち去った。そして思い思い二のような扉を締める。
「それじゃあ、はじめるよ」
「や、やめてね……ひどいことしないでぇ!!!!!!」
「ぎゃぁああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ゆひぃ!」
悲鳴がゆっくりたちの仕事場まで響く。意図的に聞こえるようにしているのだ。
「いじゃあああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
悲鳴はさらにゆっくり達を恐怖のどん底に陥れる。それが目的なのだ。
ゲスには恐怖という道具を使い、統治する。そして、教育していくのだ。マインドコントロールのと言っても差し支えはなく、そこに自由はない。“ようかいのやま”はその手段を採って領土を拡げた。それもこれもゆっくりが進化していくためであると。必要悪であると。
“あんこのかくめい”
ゆっくりの思想をあらゆる手段を使いゆっくりをより高尚な生き物へと進化させ、よりゆっくりできるようにする。喩えるならば、鉄を鍛えるかのように、精神を高熱で溶かしハンマーで整える。これが“ようかいのやま”の最大の目標である。
そんな中、元“英雄ん”のまりさは地獄の釜の底を生き延びていた。唇がなく歯がむき出しで、帽子には穴が開いている。まったくゆっくり出来ないゆっくりになってしまった。
「むーしゃ、むーしゃ……」
今日もまた公衆便所に行き、皆の糞尿を食べる。ルールとしてまりさはご飯をたべることが許されないのだ。それじゃあ何を食べればいいのか、ご飯じゃないご飯を食べれば良い、母に宣告されたときまりさは無け無しの体力で怒ったが、相手にされなかった。さらに、
「おいまりさぁあああ!!!! ちょっとこい!!!!!!」
背後から元妻のれいむの怒声がかかった。
「ま、まだごはんさんをたべているんです。か、かんべんしてくださ―」
「おまえにけっていけんがあるとでもおもってるの!!!!ばかなの!!!!!ころすよ!!!????」
「す、すいません……」
今日もまた、元妻達にリンチを受ける時間が始まるのだ。
若いゆっくりたちは集団生活を強いられる。そのための場所としてゆっくりの群れ一つ出来そうな居住区に集められ、その家一つごとにすまなければならない。
開けた会場でまりさを囲うようにゆっくり達が集まってきた。それを監視するように仕事を終えた母れいむが見ている。毎日行われている、この生活で唯一楽しみのレクリエーションが始まるのだ。
「ゆひぃ……」
これから行われるせいっさい。だが、まりさは絶対に殺されない。なぜなら、ゲスという偶像だからである。“ようかいのやま”の恐怖政治の一つで、ゲスの象徴として一生、虐められる運命なのだ。
「ふふ、きょうはおれんじじゅーすさんをちょっともらったからかいぼうごっこだよ!!!」
「ゆひー!!いったそ~~!!!」
『ゲラゲラゲラ!!!!!』
もちろん、オレンジジュースはまりさをせいっさいする為のものであり、飲むものではない。仮に飲んでしまったら、せいっさい室に送られ、まりさと同じようにオレンジジュースを使われる日々が待っている。
一匹のれいむが木の枝を持ってきた。
「ねえ、このきのえださんがなにかしってる?」
「ゆぐっ……」
『なーにそれ~?』
「そこのくそぶくろがいばってもってたきのえださんだよ! ぷくく、ほんといまかんがえればまぬけだね!」
『ゲラゲラゲラ!!!!!』
まりさが自慢にして持っていた木の枝。実はこの群れから離れる際にこっそり帽子の中に入れていたのだ。それはなぜかって?
「こいつはね! このきのえださんにはなしかけてたんだよ!『まりさがきのえださんをつかっていればあいつらなんか』って。ぷくくくく。かてるわきゃねぇええだろぉおおおおおおおおお!!!!!」
慣れた手つきでまりさの後頭部を木の枝の尖った先っぽで切り裂いた。後頭部に残る切り傷は、髪の毛が生えず、禿げたまんまの亀裂が何本も走っている。
「ゆぎぃいいい!!!!」
「ゆひゃぁああああああああああああせいっさいだぁあああああああああああああ!!!!」
『ゆひゃぁあああああああああああああああああ!!!!』
他のゆっくり立ちも常備していた木の枝を使い、まりさの頭に突っ込んだ。
「うgyさtrydzつsrふぃxd7おtcy8fvぐいぽ@!!!!!!」
「どうだ! どうだ! このげすめ! もっとなけ! なけぇえええ!!!!!」
「おまえのせいだぞ! こんなめにあうのはおまえのせいなんだああああ!!!!!!!」
中枢餡を傷つけないように木の枝は浅く刺しそしてかき回す。
「あばあっばばばばっばあばはばっばばばばばばばばばば!!!!!」
気が済めば、枝を取り出して、代わりの餡子としてみんなのうんうんをつめ、そして交代する。それを何十回も繰り返すのだ。
「ゆげぁあああああああああああああ!!!!!!!!!!」
だが、まりさは狂えない。普通なら狂えてしまうだろう。だが、出来ないのだ。
「まりさ、しんじゃうよ? このままだと? ふふ、ゆっくりできなくなるね!? そっちのほうがいいかな!?」
「いやだ、しにだくない、いやだ、だすげて」
「うそでしょ? ほんとうはしにたいんでしょ?」
「まりさはしにたくない! まだ、まりさはゆっくりしてないぃいいいい!!!」
死の恐怖がまりさを塞き止める。幾つものせいっさいがまりさに死の恐怖を教えたのだ。そして、この苦しみに耐えればゆっくりできるよと監視役のゆっくりの嘘を信じているからだ。
「おかあざあああああああん!! だすげでえええええ!!!!!」
そんな声を無視するかのように母れいむはそっぽを向いた。
「どうして、どうしてなの!? こたえてよ!! まりさ、かわいそうでしょ!? おねがい、たすけてよおおお!!!!」
れいむにとって、もう、まりさは大人だ。だから、
「まりさ、」
「おかあさん!?」
「ゆっくりしていってね!!」
その後、れいむは監視役のゆっくりに群れを運営するに当たってのノウハウを教え、元の群れに戻った。これから一生、自分だけをゆっくりさせよう。そう考えたのだ。ただ、普通にご飯を食べ、自然を感じ、友人と話し合う。ただ、そんな人生を歩むことにした。
子供達の群れが立派な群れになり、“ようかいのやま”の一員として存在できるようになった頃、群れのリーダーのちぇんからまりさの死を告げられた。最後の時まで、まりさはあの木の棒にすがりながら生きていたらしい。体の汚れで真っ黒になった木の棒がれいむの元に渡った。
「これが、あのこのいひんだね」
子供を愛さない親はいない。少なくともれいむはそうだった。だが、れいむはまりさを助けなかった。ちぇんは子供の遺品に悲しげな顔をする母れいむに疑問をぶつけた。
「なぜ、まりさをたすけなかったの? れいむならたすけられたはずだよ?」
母れいむには義務がある。誰かに伝えるための義務が。
「それはね、えらいゆっくりはたっくさんのせきにんをおわないといけない。まりさはちからもないのに“えいゆん”になろうとしたからだよ。こればかりはれいむもくちだしできないよ」
れいむの死期が近づいてきた頃、一匹のゆっくりけーねが現れた。なんでも、れいむのことを知りたいらしい。
「けーねはゆっくりのれきしをへんさんしたいんだよ!」
「ゆ、それなられいむがしってるはんちゅうでおしえるね!!」
その記録はゆっくりけーねだけが持っている。だが、けーねが歴史をまとめる時、そこにバイアスというものが掛かってしまうのは言うまでもない。
歴史はゆっくりの中で謳われ続けた。その歴史が正しいかは分からないが、途絶えないで欲しい。そうれいむは思いながらけーねに自分のありったけの気持ちを伝えた。
【おわり】
======あとがき======================
「何とか本能の赴くままに!」書いてみました。推敲? なにそれ状態です。かろうじて起承転結に作っては見たのですが。オチとしてこの話を作る前に再度読み直したんですが、誤字が酷すぎる。また、消し忘れ・言葉の意味がおかしかったりなど酷い点が多い。脳から出る言葉を記し続けた結果がこれだよ!
ストレスフルというか、文章を書いてスッキリしたい。そういう思いで文章を書いております。時間が有れば辞書を引いて色々模索するところですが、期末テストが……その憂さ晴らしとして書きました。
今作のコンセプトはゆっくりの歴史。サブとして社会について。まあ、夜警国家で軍事国家じゃないと無理かな。つか、シヴィリアンコントロールとか書いてたが、ありゃ文治主義だ。意味が逆ですね。マインドコントロールにしようかと迷ってあんなこと書いたような。普通に英語の意味として違うだろうがって話しなわけで。助詞とか、言葉って難しい。……話が脱線しました。
長編はこりごりです。体力がガリガリ減らされて書くのがとっても辛かった。なので次回からはシンプルな短編を作ろうと思います。
へたくそなレベルの低い文章をお見せしてまことに申し訳ありませんでした。プロットもたてず、また後付のように設定を加える傍若無人な態度。SSを書く人間の態度ではありませんでした。楽しんで欲しいと言う一心で作った文章ではありますが、自分の恣意的な思いが強く歪んだ作品になってしまった気がします。また、長編に限ってはこのスタイルで通し続けるつもりなので、一旦、長編を書く事はやめます。
付き合ってくださった人に感謝の極みです。