「さて…と。」

俺はしがないサラリーマン。今日は休日なので、車で遠路はるばる森に来たのである。 
森林浴?そうではない。俺は今日、新たなことに挑戦するのだ。それは…

〝ゆっくり虐待〟


やはり仕事をしているとストレスがたまる。 
特にこれと言った趣味もない俺は、どうにかしてそれを発散させようとネットで調べている内に、 
これに行きついたのだ。 
ゆっくり虐待は、おおっぴらには言えない趣味ではあるが、案外やってる人は多いらしい。 
ネットで検索したらすぐに詳細を記したサイトが見つかり、ある程度の情報は仕入れることができた。

「さぁて…探すか。」

なぜ森に来たのか。それは、虐待初心者やストレス発散には森にいる善良種がおすすめらしいからだ。 
街にいるのは人間の影響か、変にすれてて、知恵をつけたやつが多いそうな。 
そしてゲスは自分を持ち上げる言葉と、他者を罵倒する言葉に関しての語彙が豊富らしい。 
森にいる善良種なら純粋で阿呆な奴が多く、俺の様な奴にはうってつけらしい。

「ゆっゆっゆ。」 
「ゆ~ゆゆ~。」

探そうとした矢先、もう見つけた。 
あれは…名前なんだっけ。行きがけに本屋で買ったゆっくり図鑑を…ペラペラペラリコセ… 
なるほど、れいむにまりさか。ゆっくりの中でも数が最も多く、ゆっくりと言えばこいつららしい。 
よし、さっそく捕獲だ。

「よ、よぅ…れいむ、まりさ…」 
「ゆっ?」 
「ゆー?にんげんさん、どうしたの?」

おぉお、当たりかな!? 
人間と見るや否や食って掛かり、甘味を要求したりしてくるやつがゲスらしいが、 
口調を聞いた感じではとてもそんな風には見えない。 
なにより、この仕草。首を傾げ、こちらに対して警戒心も敵意も見られない。

「今日は、お前らにあまあまを持ってきたんだよ。」 
「ゆぅう!?あまあま!?」 
「ちょうだいね!あまあまちょうだいね!」

ゆっくりは甘味…〝あまあま〟が大好きらしい。 
これをちらつかせればこいつらのような阿呆だけでなく、大抵のゆっくりが釣れるらしい。 
にしてもまさかここまで警戒心が薄いとは思わなかった。

「ほら、口開けな。」 
「はやくちょうだい!」 
「あまあまたべたいよ!ゆぅー!」 
「そらっ」 『ぽいっ』 
「「むーしゃむーしゃ、しあ…わ…せ…」」

甘味ではあるが、こいつらにやったのはラムネ。 
ゆっくりにのみ、睡眠剤の効果があるんだとか。 
しかし、騙されたんじゃないかと思ったが、本当に寝やがった。 
余ったラムネは俺が全部食おう。さて、こいつらを車に積んで、と…

「さ、帰るか。」

そうして車で意気揚々と帰路に着いたのだ。こんなに気持ちが高ぶるのはいつ以来だ… 
そうか、中学の時、落ちてるエロ本をかばんにしまいこんだ時以来だな。 
家に帰るのがこんなに楽しみなのは久しぶりだ。


さぁて家についた。 
最近は、飼いゆっくりというのもすっかり定着したらしく、 
家にゆっくりを連れ込むところを誰かに見られても、何も不思議に思われないらしい。

「しょ、と。」

2匹を車から降ろし、居間へともっていく。意外と重いな…

「全然起きねえな、どうしようかな。」

車の中で結構揺られた上に、居間に置いたときも雑に置いたんだが、起きない。 
虐待はいろいろ遊んでからにしたいので、痛みで起こすのはあまりやりたくないんだが… 
よし、図鑑だ。何々…

【水が必要以上に体にかかったり、溺れたりすることを極端に恐れる。 
 そのため水には敏感で、寝ているゆっくりを起こすのには水をかけるのが最適】

というわけで、霧吹きに水を入れて持ってきた。ぷしゅっと。

「ん…」 
「ゆぅう…」

おぉ、起きた起きた。

「ゆ?ここどこ?」 
「ゆー!とってもゆっくりできるばしょだよ!」 
「そうだね!」 
「まりさ!」 
「ゆっ!」

なんだなんだ。何が始まるんだ。こいつらの後ろにいるからか、俺に全く気付いていないようだ。 
とりあえずこいつらが何をしたところで大したことはできないだろう。傍観するか。

「「ここを、れいむとまりさのゆっくりぷれいすにするよ!」」

れいむもまりさも胸を張って、誇らしげに宣言した。 
ゆっくりぷれいす?なんだそりゃ。えーと、あった。

【ゆっくりぷれいすはゆっくりできる場所で、主に巣などが挙げられる】

か。へぇ、俺の家はゆっくりできるのか。ん、続きがあるな…

【ここを~のゆっくりぷれいすにするよ!という言葉を発するのを聞く時がある。 
 それは、その場所を自分の巣とする、〝おうち宣言〟である。 
 おうち宣言を遮られずに最後まで言えた場合、その場所はそのゆっくりの巣であると認識される。】

これは…さっきのセリフか。 
つまりここは、もうこいつらの巣なわけだな。 
ていうか、巣をたまたま留守にしてたら堂々と奪われる、ってこともあるわけか。どんな社会だ。 
まぁいい。こいつらに自由など与える気もないし、思い込むくらいは好きにさせてやろう。 
にしても気づかれてないのなら、しばらく観察してみるか。

「まりさ!こっちにあまあまがあるよ!」 
「ゆー!ほんとうに!?ほんとうだあ!」 
「すごいね!あたらしいおうちはゆっくりしてるね!」

そう言い、ぽんぽんと跳ねていった先は…こたつだ。なるほど、こたつの上のクッキーがあまあまか。 
普通そんな丁寧に食いもん置いてないだろ。そういや、図鑑にも書いてあったな…

【この世のものはゆっくりをゆっくりさせるためにあり、その発想から、 
 野菜や山菜なども自分たちのために勝手に生えてくるというのが、多くのゆっくりの共通認識である。 
 その為、山の恵みを枯渇させたり、農家が育てた野菜を自分のものだと主張し、畑を襲うという事件が昔から絶えない。】

ふーん。ゆっくり…絶滅すればいいのに。 
まぁいい。これからは絶滅のために俺もわずかながら尽力するんだ。 
今日は記念すべき第一歩だ。 
にしてもこいつら、こたつに届くのか?

「ゆぇええ!とどかないよおお!」 
「れいむ!まりさのうえにのってね!」 
「ゆー!とどいたよ!まりさはてんっさいだね!」 
「それほどでもあるよ!れいむ!あまあまをちょうだいね!」 
「いくよ!ゆーっくり!」 『ガシャン!』

届かないよなぁ。 
と思ったら、まりさの上にれいむが飛び乗って、そこからこたつの上に飛び乗った。 
そのまま、クッキーを容器ごと無造作に地面にぶちまけやがった、

「ゆわぁあ…あまあまだぁ…」 
「かりはだいっせいこうだね!」 
「れいむとまりさにかかれば、らくっしょうだね!」 
「はやくむーしゃむーしゃしようよ!」 
「ゆっ!むーしゃむーしゃするよ!」 
「「むーしゃむーしゃ…し、し、し、しあわせえええええ!」」

犬食いで汚らしくクッキーをかきこんでいる。 
口の中にまだあるのに幸せ~だとか叫ぶから、お互いの顔に唾にまみれたクッキーが大量に飛び散っている。 
それをお互いの舌でぺろぺろと舐めまわした後、また幸せ~。 
何も言わずにぺろぺろやってるのを見るにいつもの光景なのか? 
これは犬食いって言ったけど、犬以下だな…って当り前か。

「ゆ…ゆふぅん…」 
「まりさぁ…だめだよぉ…ゆ…ん…」 
「ねぇれいむ…すっきりー!しよ…」 
「ゆ!?だ…だめだよまりさ…ゆぅんっ!」

そして舌が触れた瞬間、いきなり舌を絡ませてなにやら情事にふけりだした。 
すっきりー!ってたしか…交尾のことだよな… 
だめだ、これはキモい。ゆっくりに産まれなくて本当に良かった。 
これ以上は正視に耐えないので、そろそろやめさせるか。

「おい、お前ら。」 
「ゆっ!?」 
「ゆー!にんげんさん、だあれ?」 
「…ゆっくりしていってね。」 
「「ゆっくりしていってね!!!」」 
「ゆっくりできるにんげんさんだね!」 
「れいむとまりさのおうちで、いっしょにゆっくりしようね!」

冗談だろ…俺のことをもう忘れているみたいだ。 
〝れいむとまりさのおうち〟か。だめだ、思い込ませるのすら腹が立ってきた。 
それにしても…とことん律義に挨拶返すなぁ、こいつら。 
そういや挨拶についてなんか書いてあったな。また図鑑見てみるか。

【普段は緩慢なゆっくりであるが、彼らが敏感に反応する時がある。 
 自分がゆっくり出来ると思う物を見つけた時や、痛みなどを感じた時。 
 そして、「ゆっくりしていってね」の挨拶だ。 
 特に挨拶に関しては非常に敏感で、最後の「ね」まで言い切った瞬間本能から返事をする。】

「ね」まで言い切った瞬間か。確かにゆっくりしてるとは言えんスピードだな。 
そうだ、いいこと思いついた。

「ゆっくりしていってね。」 
「「ゆっくりしていってね!!!」」 
「ゆっくりしていってね。」 
「「ゆっくりしていってね!!!」」

挨拶をするたび、ぴょんぴょん跳ねながら笑顔で律義に返事をする。

「ゆっくりしていって…」 
「「ゆゆゆ…」」

たしかに言い切らない限り返事しないな。 
こちらをやたらときらきらした目で見つめ、その瞬間を身をかがめながら今か今かと待ちわびている。

「ね!」 
『ピョン!』 「「ゆっくりしていってね!!!」」

本願かなった!といった感じの満面の笑みで高く跳びはね、最高到達点で高らかに言い放つ。 
着地した2匹は、この上ないどや顔でこちらを見つめている。

「ゆっくりして…」 
「「ゆ!?」」 
「ゆっくりして…」 
「「ゆゆゆ…」」 
「ゆっくりして…」

またしても、いや、ためが長い分先ほどよりもさらに深く身をかがめてこちらを見つめている。

「いかないでね!」 
「「ゆっく…!」」

そこまで言って2匹は完全に硬直した。 
体は半分ほど伸びあがり、今まさに飛び立たんとする姿勢のまま、瞬き一つせずにこちらを眺めている。 
何が起こったのか全く理解できないといった様子だ。

「ゆっくりして…」 
「「ゆぅ!」」 
「いかないでね!」 
「「ゆっく…!」」 
「ゆっくりして…いかないでね!」 
「「ゆっく…!」」

何度やっても同じことを繰り返す。なるほど、純粋で阿呆という言葉に嘘はないな。

「ゆんやぁああああ!やめてよぉおお!」 
「ゆっくりしたいよぉおお!」

ついに泣き出した。涙と唾をまきちらしながら、じたじたと駄々をこねている 
子供か、と思ったけどそれは子供に失礼だな。 
まぁ本能的から、というくらいだからそれを言えないのは相当辛いんだろう。 
こいつらの相手してるとなんかイライラしてきたな。そろそろ始めよう。

「れーいむ、まーりさ。」 
「ゆぐ…ゆ?」 
「な…なぁに?にんげんさん…」

ちょっと警戒されちまったかな。別にいいけど。

「ほっ!」 『パンッ!』 
「ゆひぃ!」 
「ま、まりさあああ!」 
「いぢゃいよおおおお!れいむうううう!ぺ~ろぺ~ろしてええええ!」 
「ぺ~ろぺ~ろ…にんげんさん!まりさがいたがってるよ!ゆっくりあやまってね!ぷくー!」

軽くはたいただけなんだが…火がついたように泣きだした。 
あんなの、小学生でも痛がらない程度の威力だぞ。 
こいつら、痛みにはすごく弱いらしいな。我慢もできない、と。 
あー、なんかぞくぞくしてきた。本格的に痛めつけてやるか。 
何かないかな…お、いいものを見つけた。

「おーい、これ、何だと思う?」 『カチンカチン』 
「ゆぅ?」 
「それはゆっくりできるもの?」

ゆっくりできるわけねえだろバーカ。俺が持ってるのペンチだぞ。 
さて、と次は歯医者さんごっこかな。

「ゆっくりしていってね。」 
「「ゆっくりしていってね!!!」」

大口をあけて、満面の笑み。その状態で5秒ほど停止する。うん、十分だな。 
すばやくれいむの口にペンチを突っ込み、歯を挟む。 
そのまま…

「よっと。」 『ゴボッ』 
「ゆぎゃあああああああああ!」 
「ゆ…ぅ?」

抜いてやる。信じられないほどすんなり抜けた。 
抜かれた瞬間叫びだすれいむだが、まりさは何が起こったのか、といった様子だ。 
いくら俺の方を向いて静止していたからといってまさか真横で起こったことに気づいてないなんてこと…

「れ、れいむ!?どうしたの!?ゆっくりしてよぉー!」 
「れいむのはがあああああ!ゆっくりできないいいいい!」

あった。

しかし虐待、と聞いてどんなもんかと思っていたが…これは、楽しい。 
形容しがたい感情が湧きあがってくるのがわかる。 
快楽と、背徳心と、嗜虐心と…とにかくいろいろないまぜになっている。 
あまりに高ぶりすぎて体が熱くなり、ぶるりと震え、思わず笑みがこぼれる。

「ゆっくりしていってね!」 
「「ゆっくりしていってね!!!」」 
「…」 『ゴボッ』 
「ゆっぎゃああああん!」 
「れいむぅうう!?」

それでもやっぱり返事するんだな。愛い奴め。こうなりゃ死ぬまでかわいがってやるよ。 
とりあえず、全部の歯を抜いてやろう。 
まりさはまりさで、さっきのやり取りをれいむが絶叫するたびに繰り返している。 
学習しないなぁ…

「ふぅう…気持ちいい…」 
「ゆ、ゆふっ…ゆふっ…」 
「れいむぅうう!なにがあったのおおおおお!?」 
「ゆっひゅりでひなひいいい…」 
「どうじだのれいむうううう!?なにいっでるのおおおお!?」 
「ゆひゅひぃ…」 
「にんげんさん!?にんげんさんがどうしたの!?」

歯抜けにしたはいいが、まともに発音できなくなってしまった。 
まぁ、楽しめたからいいかな。れいむ、大義であった。 
まりさはともかく、れいむは俺がやった事を流石に理解しているようで、もみあげで俺を指してくる。 
れいむを躾けるついでに、まりさにも俺がゆっくりしてない人間ということをそろそろ理解してもらおうか。

『ブチッ』 『ゆふぃいいいいいいい!』 
「れいむううう!?にんげんさん!なにじでるのおおおおお!?」

とりあえず俺を指してくるもみあげを頂いた。人を指さすのはいけないことだしね。

「なにって…?虐待だけど。」 
「ぎゃくたいってなんなのおおおおお!?」 
「虐待ってのはねえ…『ぐいっ』こうしてえ…」 
「ゆぶぶうぶぶ!」 
「やめてね!れいむがいやがってるよ!やめてえええ!」

れいむの口を無理やりこじ開け…

「こうすることなんだよっ!」 『ドスッ!グリグリッ!』 
「ゆっびゃあああああああああああ!」 
「やめてえええええ!れいむううううう!」

前歯があったところにシャーペンを突き立てて、弄繰り回す。 
歯の根元に神経があるのは人間と同じか。抜いた時とは比較にならない表情と声で叫んでいる。 
もっとも歯を抜いた時は、挨拶してたらいきなり抜かれた、って感じだからいくらか痛みもましだったんだろう。

「気づいてなかったのか!?俺がれいむの歯を抜いてたの!」 
「れいむをはなしてよおおお!」 
「こんな…風にな!ちゃんと見てろよ!」 『ズボッ!』 
「えうあああああ!」

でも今は違う。これから痛みを与えるんだぞ、としっかり認識させてから虐待する。 
今度は歯ではなく、舌を引っこ抜いてやった。 
舌を抜かれたれいむは、本格的にしゃべれなくなったみたいだ。

「やめろおおおお!れいむにひどいことするなあああ!」 『ぽむっ』 
「おっ!ちゃんと抵抗もするんだな。」 
「ゆっがぁああああああ!」 『がぶっ!』 
「うぇ…べとべとしてる…」

まりさも、俺がどんな人間かようやく理解したようだ。 
ぼろぼろと涙を流しながら、俺に体当たりしたり、噛みついたりしてくる。 
体当たりは柔らかいものがぽむん、と当たってくる感触しか伝わってこない。 
噛みつきにしろ、唾液が不快なだけで、全く痛くない。 
喋れなくなったれいむには用もないし、そろそろ…

「まーりさ!」 
「はなせはなせ!れいむをはなせえええ!」 
「今かられいむ死ぬけど、何か言うことあるか?」 
「うううああー!」 
「れいむはまりさがまもるんだあああ!」 
「…ゆっくりしていってね!」 
「ゆっくりしていってね!!!」 
「うっういいえいっええ!!!」

こんな状況でもやっぱり挨拶するんだな。れいむは何言ってるか分からんが。 
まぁいい、まりさにはれいむの最期を見届けてもらおう。 
たっぷり時間をかけてあの世に送ってやるよ。ゆっくり死んでいってね!!!

「ひとーつ。」 『ぶち』  
「うううー!」 
「ふたーつ。」 『ぶち』 
「れいむぅううううう!」 
「みーっつ。」 『ぶち』

れいむの体をすこしづつ千切っていく。 
何回千切っても、れいむもまりさも良いリアクションを返してくれる。 
れいむの餡子と皮は無造作に床に散らばり、あたりに甘い臭いを放っている。 
俺もテンション上がってきたな。自然と千切る速度も上がってきたぜ。

「ひゃくにじゅういち、ひゃくにじゅうに…」 『ぶち』 
「うえ…あぁあ…」 
「まりさがついてるよ!だからまけないで!れいむうううう!」 
「ひゃくにじゅうさん…『こつん』ん、なんだこれ。」

れいむはもはや声も上げられないようだが、それでも千切るたびに体をびくりと震わせてくれる。 
まりさはまりさで無責任なこと言ってるな。 
ところで、なんか固いもんがあるぞ。なんだこりゃ。図鑑、図鑑…えーと…断面図は…あった。 
中枢餡ねえ。大切な場所で、ここがちょっとでも傷ついたら障害が発生したり、永遠にゆっくりするとか。 
れいむはもういいや。ばいばい、れいむ。

「ひゃくにじゅう…よんっ!」 『バキャッ!』 
「えうっ!」 『ビクン!』 
「れいむ、まけないで、れいむ!…れいむ?」 
「れいむ、永遠にゆっくりしていってね、と。」 
「ゆっくりしていってね!!!」

うぉ、びびった。何の気なしに言ってしまった。この野郎、涙を流しつつ満面の笑みだ。 
でも、れいむはもう言わないな。当たり前か。 
にしても…こんなにすっきり出来ることがあるのに、今まで知らないでただストレスをためてたのか俺は。 
れいむの歯を抜いた時より、もっと気持ちが高ぶってるのがわかる。 
呼吸が荒くなる。顔が熱くなる。でも頭の中はもやが晴れていくようだ。あぁ、早くまりさを虐待しよう!

「ふぅ…」 『ひょい』 
「おそらをとんでるみたい!」 
「何をしようか…『ドパァン!』あれ?」 
「……!」

まりさをどうしてやろうかと考えていたが、俺の体はどうにも我慢が聞かなくなっている。 
無意識に、まりさを思いっきり壁に向かって投げつけていた。辺りに盛大な炸裂音が響き渡る。 
まりさは壁に張り付き、しばらくそのままでいたが…やがてペリペリと壁から離れ、ぽすんと落ちた。

「ゆっぎゃあああ!いぢゃいよおおおお!」

落ちてから一呼吸置き、絶叫するまりさ。 
俺は目を閉じ、両手を広げ、その絶叫を耳だけでなく、全身で堪能する。背中から脳天にかけて甘い痺れが走る。 
ゆっくりの絶叫はこんなにも心地よいものなのか。 
今まで以上にテンションが上がってきたぜ。最早全身が熱を持ち、じぃんと震えている。 
ここが公共の場であれば、また他人が傍にいれば俺は何とかして落ち着こうとするだろう。だが、今は…

「はっ、はははっ!はははははっ!」 
「ゆぅう!?こっちにこないでね!ぷくー!」 
「うぉらぁっ!」 『ドボムッ!』 
「ゆべぇっ!?」 『ぷひゅるるるる』

もう笑いが止まらない。今の俺の顔はどんなだろな。ともかくまりさに近づく。 
まりさは俺に対し、体を膨らませて抵抗を試みている。 
知ってるぞ。ぷくーってやつだろ。お前らの持つ唯一の威嚇行為なんだろ? 
まりさを横殴りに力いっぱいぶんなぐると、気の抜けた音を立てながら吹き飛び、反対の壁に背中から張り付いた。 
もうペンチを使ったりとかちぎったりとか、まどろっこしいことやってられるか!

「おらっ!」 『ガッ!』 
「ゆびっ!?」 
「おらおら、ぷくーしてみろよ!」 『ボグッ!ボグッ!ボグッ!ボグッ!』 
「ゆ、ゆべ、ゆべぇ!ゆぴいい!ひいいいいいい!」

壁から落としてやらない。 
左手で壁に押さえつけ、右手で執拗に殴り続ける。 
まりさの顔の形が、見る見るうちに変わってゆく。痣だらけで、ボコボコだ。 
こいつらの体内は餡子しかないはずなのに、実に不思議だ。 
しかし、だんだんと形を変えていく顔も、殴られるたびに挙げるうめき声も、 
なにもかもが俺を奮い立たせてくれる。最高だよ、ゆっくり!

「はははははははは!」 『ドボォ!』 
「ゆびぃええええ!」 
「ほらほらほら!」 『ガッガッガッガッ!』 
「ゆ、ぎげっ!ゆぎげっ!も、もう、もうやべっ!」 
「やめてなんか…やらねえよ!」 『ドゴスッ!』

まりさの後頭部をつかみ、何度も壁に打ち付ける。最後は、助走をつけて思いっきり壁に叩きつけてやった。 
相当効いたのか、しばらくピクピクと痙攣していたが、

「ゆ、ゆぼぉおおおお…」 『びちゃああ…』 
「…ふふっ。」

餡子を吐き出してしまった。その様子に、思わず手を止め、笑いがこぼれる。 
たしか、餡子がある程度失われたら補給しないとやばいんだよな。 
そろそろ終わりにしてやろうかな、とも思ったが、ふと、れいむが目についた。 
潰れた後も再利用だ。エコだな、れいむ。

「まりさ、これ見ろ。」 
「ゆぶ…ゆぇえ…?」 
「お前の愛しいれいむだ。」 
「やめ…でね…れいむを…はなじでね…」 
「…さぁ、食え!」 『ガボッ!』 
「ゆぶぶぶぶぶぶ!?」

下半分が失われたれいむを見せてやると、右目をかすかに開き、れいむを見据える。 
左目は腫れ上がり、完全に塞がってしまっている。 
れいむに触られるのが嫌なのか、まだ抵抗する気力はあるようだが、その様子にまたぞくり、ときた。

「ほらほら、あまあまだぞ。欲しかったんだろ!」 『シャカシャカ』

口にれいむを一杯一杯に頬張らせ、シェイクする。 
しばらくそのまま振られていたまりさだが… 
口いっぱいに広がる甘味に我慢できなくなったのか、ごくん、とれいむを飲み下した。

「しあわせええええ!ゆええええええん!」

甘味を食べると幸せ、とかいうのも本能なのか?でも、幸せ宣言した後に号泣してやがる。 
番を食べて幸せ、か。つくづく暢気で、哀れで、生きる価値もないような奴だな。

「まりさ、れいむは美味しかったか?」 
「……かえる。」 
「お?」 
「まりさおうちかえる!」 
「ここお前のお家なんだろ?ゆっくりしてけよ。」 
「ちがうよおおおお!こんなにゆっくりできないばしょはまりさのおうちじゃないいい! 
 ゆああああああ!どこからでればいいのぉおおおお!どぼずればいいのおおおお!」

帰る、か。ここまでされてようやくここが自分の家でないと認識したのか。 
もういい。そろそろ時間切れだ。明日の仕事に備えて準備があるしな。 
十分楽しませてもらったよ。お前らは最高の玩具だったさ。 
さて潰そうか…と思ったが、やめた。

「こっちこい、まりさ。」 
「ゆんやああああ!やだやだやだああああ!」 
「おちつけ、潰しはしないよ。」 
「ゆえっぐ…ほんと…?」 
「さぁ…?嘘かもな。」 
「やだぁあああ!しにたくないいいい!」

まぁ、潰しはしないさ…潰しはな。まだまだ楽しもうぜ。まりさ


あれから1か月が経った。 
ゆっくり虐待を始めてからというもの、仕事がはかどって仕方がない。 
毎日リフレッシュして仕事に臨めるというのが、こんなに素晴らしいものだとは。

「ただいまー!」

家に帰ると、大きく返事をする。 
俺は一人暮らしなので、本来は返事がないはずだ…しかし、今は。

「ユヒィイイイ!カエッテキタア!ヤダヤダヤダヤダァ!イタイノモウヤダアアア!」

こうして返事を返してくれる、かわいい奴がいる。 
俺の寝室は玄関から離れているのだが、ここまで聞こえるということはまだまだ元気だな。 
とりあえず返事が返ってきただけで満足だ。 
それから俺は風呂に入って飯を食って…今日の用事はあらかた済ませた。いよいよお楽しみの時間だ。

「よう、待たせたな、まりさ!」 
「ゆんやああああ!こないでええええ!」

寝室のドアを開けると壁に張り付いたまりさが出迎えてくれた。 
あれから、まだまりさは俺の家にいる。 
仕事に行ってる間は、こうして留守番をしてもらっているのだ。 
留守番のさせ方だが、あんよを焼いたりして破壊する方法は却下だ。逃げる姿がそそるんだ。 
しかし俺にはまだ破壊されたあんよを修復する技術はない。かといって拘束するものもない。なので…

「さぁ、始めようか。」 『ズボッ!ズボッ!ズボッ!ズボッ!ズボッ!ズボッ!』 
「ゆぴぃ!」 『べちゃ!』

皮を思いっきり引きのばし、五寸釘で壁に打ち付けるようにしている。 
こいつらの皮は結構伸びる。そして餡子でなく、皮を傷つけるだけならダメージも少ない。 
事実、抜いてやってからしばらくたつと、たるんだ皮が元に戻り、元のゆっくりの形に戻る。 
万が一に備えオレンジジュースも常備してある。賞味期限はとっくに切れてるが…まあ、いいだろ。

「さぁ、今日は何しようかな。」 
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」 
「いやいや、謝らなくてもいいよ。お前は何も悪くない。」 
「じゃあなんでえええええええ!?」

なんかやたらと謝ってくるんだよなぁ、こいつ。謝ってりゃ許されて逃げられるとでも思ってんだろうか。

「そうそう、今日こんなの見つけてさぁ。」 『ギュイイイイイイイン!』 
「ゆひぃいい!それでなにするのおおおお!?」 
「穴開けてやろうと思って。」 『チチチチッ!』 
「ゆひぃ!こないでえええ!」

今日の玩具は、電動ドリル。少し掠らせたら、なかなかいい音を出してまりさの皮を削る。

「ほれ、逃げてみろ。」 『ギュイイイイ!』 
「ゆんやああああ!」

やがてまりさを壁際に追い詰めた。ここから、痛みを与えるまでがまたそそるんだ。

「ほら、当たるぞ、当たるぞ…」 『ギュイイイイ!』 
「ゆ、ゆひぃいいいいーーー!」 
「…あっははははは!」 『ギュルギュルギュルギュル!』 
「ゆぎぃやああああああああー!」

これを選んで正解だった。ドリルは回転しながらまりさの体内へと吸い込まれてゆく。 
しかし、まりさの絶叫に反して流出する餡子の量は少ない。読み通りだ。 
家にある工具やら何やらはそのまま虐待に使えたりするので、最近もっぱら物置やら押入れをあさるようになった。 
この間面白半分にミキサーに詰め込んだ時は、永遠にゆっくりする一歩手前までいったが、オレンジジュースをかけて放置してたら 
時間はかかったが再生していた。ミキサーはこいつにとどめをさす時までおいておくことにしよう。

「ふぅ、すっきりした。今日はこの辺にしておくか。」 
「ゆ、ゆびええええ…」 
「よっと。」 『ひょい』 
「お…そらを…とん…でる…みた…い…!」 
「使い終わったら片付けないとな。」 『カン!カン!カン!カン!』 
「ゆっぎいいいいいい!」

終わったらこうしてちゃんと壁に打ち付ける。もう日常となっていた。 
壁に打ち付けた後は、画鋲や釘でなんちゃってダーツもできるすぐれものだ。 
今まで目に当たったことはないが、目に当たったらやっぱり目、つぶれるかなぁ。 
もし両目がつぶれたら、まりさはミキサーに詰め込んで、新しいゆっくりと交換しよう。 
さて、ネットで虐待法でも調べるか。

「加工所の透明な箱ってのも注文してと。ホットプレート…はまだ早いかな。とにかく押入れから出しとくか。」 
「ゆひ、ゆひ、ゆひい…」 
「あ?どうしたまりさ。虐待してほしいのか?」 
「ぎゃくたいはいやああああああああ!」 
「じゃあ何だよ。」 
「…もう、ころしてえええええ…」 
「ははっ。そのうちな。」 
「ゆえええええん…」

死にたくないってどの口が言ったんだか。まぁいいや。 
あれからまりさは、虐待の意味を身を以て覚えてくれた。よかったよかった。 
まりさがダメになった後も、数えきれないほどのゆっくりをぶっ潰してやろう。 
ネットで調べたら、膨大な量の虐待法が出てくる。自分にできる範囲のものは全部試してみるか。 
あのとき買ったゆっくり図鑑も、今なお虐待のアイデアを数多く提供してくれているが、読みすぎてもうぼろぼろだ。

さてと、もう寝るか…おっと。ホッチキスの芯が切れかかってる。 
毎晩まりさの口を留めるのに使ってるからな。再利用できるやつを何か考えないと。 
それを考えるのもまたわくわくしてきたな。でも今日はもう遅いし、明日考えるか。

ふぅ。今日も安らかに眠れそうだ。ゆっくり虐待って…最高だなぁ…

まりさよ。いつかお前が永遠にゆっくりするその時まで、俺と一緒にゆっくりしていってね…



【おわり】