「ゆぐっ!どぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉぉ!!!」 
一人の男が、道端で跳ねていた、野良のゆっくりれいむの後頭部を、勢い良く蹴り上げた。 
誰も居ない、田舎の未舗装の道。両側が田んぼに挟まれている。 

日曜の昼下がり。さんさんと照りつける太陽。そんな平和な空間に、れいむの大きな悲鳴が響く。 
「いだいよ……ゆぶっ、ゆぐっ、ゆごげぇ……」 
男の蹴りで、中枢餡が激しく揺さぶられ、れいむは激しい嘔吐感に襲われた。 
男はすかさず、落ちている小石を拾い、次々とれいむの口に入れていく。 
「えれえゆがぼごぼごぼご!」 
吐き出そうとした餡子は、大量の口内の小石に阻まれ、その隙間からわずかに漏れるだけだった。 
れいむが餡子を吐きたいのに吐けない。そんな苦しみを味わっている間、男はれいむの頭に手を置き、 
まるで子供を褒めるときのように、なでなでし始めた。 
ゆさゆさと揺れるれいむ。その頬は次第に赤く染まり、目はとろんとして、瞳が裏返っていく。 
「ゆはー……ゆはー……ゆふんゆふんんほほほほほほ……」 
苦しそうだった声は、次第に快楽を覚えた甘いものになっていく。 
嘔吐感は無くなったと男は判断し、れいむの口内の小石を全て取り去る。 
「ゆふぅ、ゆふぅ。お兄さぁん。れいむ何だかへんだよぉ……すっきりしそうだよぉ……」 
れいむの肌は、欲情したときに分泌される、糖度の高い砂糖水に艶かしく濡れている。 
下腹部からは、陰茎が、小さいながらも、つんと誇らしげに主張してきた。 
その瞬間を、男は見逃さなかった。 
頭をなでるのをやめ、立ち上がり、れいむの陰茎を踏み潰した。 
「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 
れいむは一際大きな声を上げる。 
男が足を上げると、先程まで天高く怒張していた陰茎が、見るも無残な、つぶれた饅頭の皮になっていた。 
「でいぶの、でいぶのべにべにが……たまのこしが……」 
れいむは生殖器の喪失を、強烈な痛みで理解し、この世の終わりのように、絶望の声を上げた。 
れいむは無能である。狩りができない。歌は周りのゆっくりを不快にさせる。 
子育てもうまくできない。れいむ種ばかりをひいきするからである。 
では、何故、れいむ種は絶滅しないのか。 
れいむ種は他のゆっくり種、特にまりさ種を色仕掛けで誘惑し、妊娠し、責任をとってもらうという形で、無理やり結婚してしまうからである。 
誘惑に乗ったという事実がある以上、相手は結婚しないわけにはいかない。 
逆上して殺してしまえば、そのゆっくりは一生周りから迫害されるのである。 
陰茎は裏返しで膣の役割も果たすので、このれいむはもう、一生妊娠する事が出来ない。 
この瞬間、彼女の人生は永遠にゆっくりすることが出来ないものとなってしまった。 
「ゆぐっ……ゆぐっ……」 
まだ泣いているれいむを、男は上から右足で踏みつけた。 
「ゆぶっ、ゆぶぶっ……」 
頭の真ん中をつぶされ、頬が少し膨らむ。 
しかし、死ぬ事も、餡子を吐く事も出来ない。男の踏む圧力は絶妙で、まるで万力でゆっくりと締め上げられているみたいだ。 
ゆっくり、ゆっくり。少しずつ、本当に少しずつ力を加えていく。 
れいむはひたすら泣き続けた。何故こんなことになってしまったのか。 
母親の言いつけを破って、こっそり巣から出るんじゃあなかった。 
人間に出会った瞬間、逃げればよかった。 
こんな遠くまで来るんじゃあなかった。 
れいむはひたすら後悔した。 
涙がとめどなくあふれてきた。 
死にたくない。こんな所で死にたくない。こんな何の意味も無い死に方はしたくない。 
男はゆっくりと踏む力を強めていった。 
6時間後。れいむはまだ生きていた。しかし、餡子は男の足と地面に挟まれ、激痛にもだえていた。 
もだえつつ、れいむは今までの人生を反芻していた。 
男は、腰にぶら下げてある袋からパンを取り出し、食べた。 
12時間後。れいむはまだ生きていた。あたりは既に真っ暗。 
「うーうー」 
れいむの周りを、二匹の胴なしれみりゃが飛び回る。 
餡子を少し吐き出していたので、その匂いにつられてやってきたのだろう。 
しかし、大部分が男の足に邪魔されているので、なかなか食べる事が出来ない。 
何分か飛び回った後、彼女達はそれぞれ、左右の頬に噛み付き、餡子をゆっくりと吸い取った。 
左右から喪失していく記憶。中枢餡を圧迫する足。 
この世のものとは思えない激痛に苦しみ抜き、やがて朝を迎えた。 
れいむはまだ生きていた。れみりゃは餡子を吸い尽くし、既に居なくなっている。 
周りの餡子は記憶を貯めるだけ。中枢餡が残っている限り、ゆっくりは死なない。 
男は立小便をしながらも、しっかりとれいむを踏みつけていた。 
周りの餡子がなくなった分、中枢餡への圧力はダイレクトに伝わり、夜よりも更に痛みに苦しむ。 
「もう……じにだい……おねがい……じなぜで、じなぜでよぉぉぉぉぉ!」 
れいむは懇願した。もう苦しみたくない。早く楽にしてほしい。 
れいむはひたすら泣いた。泣いてお願いした。 
しかし、男はその力を強めない。 
24時間後、れいむはまだ生きていた。 
48時間後、れいむはまだ生きていた。 
そして72時間後、れいむはようやく死ぬ事が出来た。死因は餓死だった。 
 
【おわり】