~とある町工場~
「こらー!この悪ガキどもめー!また家の蜜柑を!」
「おみかんさんかえしてね! それはししょーとれいむのおみかんさんだよ!」
「ボケ老人と饅頭に捕まるかよバーカ」
この元気のいいじいさんは83歳で、木材加工を仕事にしている。そしてこのれいむはじいさんが、一人暮らしの寂しさを紛らわすために飼い始めたペットだ。

じいさんの家の庭には蜜柑の木が生えている。だが、それが大きくなりすぎて、家の塀を越えてしまい、近所の悪ガキに簡単に蜜柑が取られてしまう。
今日も足の速い悪ガキに追いつけずに逃げられてしまった。
「ハア・・・ハア・・・もう少し・・・足が・・速ければ・・・捕まえられた・・・はずなんだが・・・・」
「ししょー むりしないでね! おみかんさんはまだたくさんあるよ!」
「・・・・そうだな、もう帰って仕事の続きをしようかな、れいむ」
れいむとじいさんは仕事のコンビでもあった。
じいさんが材木を切っているときは、下に落ちた木屑を箒で集めたり、かんながけをするときは、かんなくずを集めたり、じいさんが疲れて休んでいるときは、踏み台を使って器用にお茶を入れて、肩たたきをしたりした。
どの仕事もれいむにとって、とても楽しいものだ、しかしれいむがもっとも好きだった仕事はじいさんと材料の仕入れに行くことだった。
仕入れに行くと、倉庫の中でじいさんはたくさんの材木の中からいつも最高のものを見つけだすのだ。
さすが70年近く続けているというわけあると、そこの店長はいつも言う。そんなじいさんを、れいむは、自身の目標として、師として、尊敬し、師匠と呼んでいた。

それからしばらく経ったある日、じいさんが思いがけないことを言い出した。
「れいむ、わしももう歳、視力も落ちた、木材加工の需要も減った、もうこの仕事をやめることにするよ。」
「そんな・・・・ そんなわけないよ!ししょーまだだいじょうぶだよ!」
「いや、もう仕入れにはいけない 今残っているこの材木がなくなれば、もう完全に、この仕事をやめる。」
そう言うと、じいさんは自分の部屋へ入っていった。
だが、れいむには分かっていた、じいさんは、死ぬまで仕事を続けたいのだ。
「おかねさんがひつようだね!」
れいむは急いで悪ガキ達の家を回って協力を頼んだ。
「なんだよ急に」
「ししょーが、のこったざいりょうをつかいきったらしごとをやめるっていってたの!」
「えっ!」
「それじゃあいつもの木のおもちゃもらえなくなるじゃん」
「でもほんとはししょーはしごとをやめたくないの! だからししょーのためにちからをかしてほしいの!」
「しょーがねー!いつもせわんなってるから協力してやるよ!」
「ゆっくりありがとう!」
れいむは悪ガキ達が、本当はじいさんのことを大好きだということに気づいて、とてもうれしくなった。
「気にすんなよ!おれたちなかまだろ?」
「うん!」
「それで、なにすりゃあいいんだよ?」
「それでね・・・・・(ヒソヒソ・・・)」
「よし、じゃあ明日の朝全員集合だ!」
「忘れ物すんなよ!」

続く


========あとがき============
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